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栄華の夢 -Eiga no yume-

 浮世は夢の 夢ならぬ夢

僕の世界には色がない
そう気づいたのはもう随分と大きくなってからだった

白黒の世界は生き易く
線の内側にいさえすれば誰も何も言わなかったから
目に映る全てに何の疑いも抱かなかった

世界に色がある事を教えた君は
僕を引き上げた後、笑顔で手を振り去っていった

以来
僕はこの彩られた世界に取り残されたまま
何色にも染まれず
かといって透明にもなれず
今尚呆然と立ちつくしている

いろ

2020/06/14 noteにて公開

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